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北アルプスで唯一の活火山である焼岳は、大正時代に大噴火を起こして上高地の梓川を埋め、有名な大正池を作り出しました。
昭和33年の爆発でも当時の焼岳小屋を吹き飛ばすなど、暴れん坊ですが、今ではのどかに噴煙を噴き上げるくらいで、古くからの登山道も復活しています。
駐車場→中尾峠 約2時間30分/中尾峠→駐車場 約2時間 |
中尾高原の旅館街を過ぎ、焼岳を仰ぎながら林道に入っていきます。激しく水蒸気を噴き上げる噴泉塔があったりして、活火山のパワーを感じることができます。
林道は途中でゲートがあるので、手前の駐車スペースに車を入れます。時間が遅いと狭い駐車スペースはいっぱいになります。お互いに譲り合って車を止めましょう。
谷の流れを木橋で渡って登山道に入ります。しばらくは緩やかな傾斜のブナ林の中を登って行きます。この辺りは木々の緑や秋の紅葉が特に美しいところです。ひと登りで林道終点の広場に出ます。
ここから本格的な登りが始まり、樹林帯の中をジグザグに急登するつらいところです。時折谷間の眺めが開け、対岸の崖にかかる白糸の滝を見ることができます。
黙々と高度を稼ぐ登山道はかつて飛騨と信州を結んだ飛騨街道でした。道中には「鍋助横手」など、その名残を留める地名なども残っていますが、今では一般の旅人が通ったとは考えられないような山道です。
やがて傾斜が緩やかになり、巨岩の岩屋に鳥居が設けられた秀綱神社があります。
戦国時代、飛騨を統一した三木自綱・秀綱親子は、越中の佐々成政と反秀吉連合を組んだため、豊臣秀吉が差し向けた金森長近の軍勢と戦って破れ、秀綱一族は北アルプスを越えて敗走しました。しかし、一族は信州の山中で土民の手にかかり悲劇の最期を遂げたと伝えられています。
歴史を秘めた秀綱神社を過ぎて登山道は、焼岳小屋と中尾峠に向う道の2手に分れます。中尾峠へ向うと、樹林帯が終わって周囲は一面の笹原となり南に大きく焼岳山頂部の火山ドームが迫力ある姿でそびえています。
上高地を見下ろす稜線に着くと中尾峠です。もろくて崩れやすい火山灰の斜面を焼岳ドームに向って登ってゆきます。体重をかけるとザラザラと滑ってゆく場所もあって、雨の後や下りの場合には注意が必要です。
溶岩地帯を越えて火口壁の小広場に出ると、眼下に火口湖が見え、頂上の北峰がすぐそばにあります。 ペンキの印に従って、硫黄の堆積で黄色く変色した噴気孔の脇をかすめます。轟々とジェット音を響かせて噴出する水蒸気がすごい迫力です。
ほんのひと登りで北峰の頂上に到着です。北峰からの360°の眺めは素晴らしく、北の槍・穂高連峰から上高地と霞沢岳、西に屏風のような山塊を広げた笠ヶ岳、南は優美な乗鞍岳と展望をほしいままにできます。
焼岳最高峰の南峰は火山活動のために立入が禁止されています。ゆっくり眺めを楽しんだら、帰りは往路を戻りますが、焼岳小屋を周回して戻ることもできます。
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