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奥丸山(2440m)は、槍ヶ岳から穂高連峰へ続く北アルプスの雄姿を間近にあおぐ展望台です。山頂は中崎尾根経由で槍ヶ岳への登山道の途中にありますが、主に雪崩を避ける冬山ルートで利用されることや、周囲の名だたる名峰群に囲まれて目立たないこと、アプローチの長い槍平経由の登山道では健脚でなければ日帰りが難しいこと、などから長らく不遇をかこっていました。
しかし、最近になってワサビ平経由の新登山道が開設され、新穂高温泉から片道4時間程度で山頂に立つことができるようになりました。
大パノラマを目当てに日帰りトレッキングの目的地としても手頃なところです。
新穂高→ワサビ平 約1時間/ワサビ平→新穂高 約50分 |
新穂高温泉から笠ヶ岳をあおぐ左俣谷沿いに林道を進みます。 水量の多い左俣谷は見事な渓谷で、途中の穴毛谷出合からあおぐ砂防工事が延々続けられている穴毛谷崩壊地と、遠くから眺める優美な姿から一変して、絶壁を連ねる笠ヶ岳も迫力があります。 笠新道の分岐を経て約1時間で、静かなブナ林に囲まれたワサビ平小屋に到着します。そこから10分ほどで森林を抜けると、抜戸岳から弓折岳にかけての稜線と、シシウド原の斜面が大パノラマで展開します。
ワサビ平→奥丸山 約3時間/奥丸山→ワサビ平 約2時間 |
鎖のかかった左俣谷の橋が小池新道分岐で、鏡平方面への道と分かれます。
奥丸山へは橋を渡って左俣谷沿いに廃林道を終点まで進むと、少々分かりにくいですが、小さな看板の立つ登山口があります。まだできてから数年の新しい登山道で、切り開きははっきりしています。
ブナ林の地面は腐葉土でふかふかして気持ちよい歩き心地の道です。おにぎりのような小丸山の山腹を回りこむようにトラバース気味に進んで、いったん沢を渡り、中崎尾根への斜面に取り付きます。
ここからは急斜面をジグザグに進む急登が続き、展望のない針葉樹林帯をあえぎながら登ります。辿り着いた稜線には大きなコメツガやトドマツが生い茂り、大展望はありませんが、樹林越しに穂高連峰が見えます。
さらに奥丸山頂上をめざして稜線を登ります。まだまだ急坂が続きますが、ときおり開ける北アルプスの眺めに元気付けられながら高度を上げるうちに樹高は低くなり、ダケカンバ林に変わると森林限界からわずかに頭を出し、チシマザサとハイマツに囲まれた標高2440mの頂上に到着します。
東南には大迫力の穂高連峰・滝谷の眺めがあり、北方向へ大キレットを経て槍ヶ岳への稜線が走っています。西には笠ヶ岳から双六岳へ続くゆるやかな稜線があって、北アルプス真ん中の大展望台です。
足元には気持ちよさそうな森林まじりの草原に囲まれた槍平小屋の赤い屋根が見えています。帰りは槍平から滝谷を見上げる右俣谷を通って新穂高温泉に周遊するのもよいでしょう。
わさび平小屋 7月〜10月 電話:(0577)34−6268
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