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新穂高ロープウェイの西穂高口駅展望台からは、西穂山荘も眺められ、それなりの装備があれば、西穂山荘まで手軽に北アルプスの雰囲気が味わえる登山の入門編として人気があります。
西穂山荘までは距離2km、標高差300mで所要時間は1時間半、さらに丸山からは、西穂高岳をはじめ北アルプスの大パノラマが一望できます。
時間が許せば、西穂高岳ピーク群の端にあたる西穂独標で岩登りにチャレンジして、穂高の雰囲気を味わってみましょう。 |
ロープウェイの始発が遅いため、登山にはできるだけ早い便を使いましょう。夏山や紅葉シーズンには数時間待ちということもあるからです。
また、独標から先は熟練の登山者の世界で、西穂山荘からの距離も時間も長く、ロープウェイを利用した日帰り登山は難しくなります。
西穂高口→西穂山荘 1時間30分 / 西穂山荘→西穂高口 1時間 |
新穂高ロープウェイの西穂高口駅を出ると、西穂高岳の岩峰をあおぐ針葉樹林を遊歩道が巡る千石平です。水芭蕉の小湿原や北アルプス槍ヶ岳を開山した播隆上人像、北アルプス展望広場を過ぎるとログハウスの登山指導センターがあります。
ここから先は一般観光客のエリアではなく、それなりの登山装備が必要になります。登山口ゲートに入って木道を進むと、ゆるい上り下りを繰り返しながら針葉樹林帯の尾根道が続いていきます。
足元は湿り気のある赤土で、悪天候時はぬかるんで歩きにくい道です。
しばらく行くとコンクリートブロック造りの避難小屋があり、その先で視界が開けて西穂高岳が大きく見えています。西穂山荘まで2kmの登山道途中には、2,3箇所に展望地の小広場があり休憩するのによい場所です。
尾根道をだらだらと行くと、一旦下って小さな沢の源流を越えます。
この辺りが最低鞍部で、残り半分の約1kmが急坂の連続する辛い登り道です。目の前に、西穂山荘まで続く樹林帯の斜面が壁のようにそびえ、風化した丸い花崗岩が階段状に積み重なった登山道を、ぐいぐい登っていきます。
風も通らない針葉樹林のなか、息もつかせぬ急登に汗が吹き出ますが、九十九折れのあちこちに小広場があるので、いろいろなパーティが、木の根元で思い思いに休憩をとっています。
木々に取り付けられた道標のプレートは北アルプスで唯一通年営業する西穂山荘への冬山シーズン用のもので、夏山登山道とは少し離れた山中にあります。やがて道が平らになると森林限界に建つ西穂山荘の裏手に出ます。
森林と高山植物のお花畑に囲まれ、上高地側に開けた西穂山荘のテラスからは、正面に霞沢岳を眺めることができ、休憩にぴったりの場所です。
西穂山荘→独標 1時間30分 / 独標→西穂山荘 1時間 |
休んだら、さっそく夏山診療所の脇を抜けてハイマツ原の斜面に取り付きます。
丸く風化した花崗岩が積み重なった道をぐいぐい登ると、西穂山荘の赤屋根が眼下になり、その南に焼岳のドームと乗鞍岳、そして上高地の緑の谷間を縫って蛇行する梓川が光って見えています。飛騨側には新穂高の谷を隔てて笠ヶ岳が大きく稜線を伸ばし、高山帯らしいさわやかな風景が広がります。
ハイマツの間の道を進むと、正面に西穂高岳に続く尖ったピークが連続するのが見えます。尾根上にいくつか小広場があり、道標が立つのが標高2452mの丸山です。
新穂高ロープウェイを利用する人のなかには西穂山荘までで満足して引き返すハイカーも多いようですが、20分ほど足を延ばすだけで、これだけの大展望が得られるのですから、独標へは行かなくとも丸山まで来る価値は十分にあります。
丸山を過ぎると、目の前にハイマツの緑の大斜面がどーんとそびえています。
登山道はハイマツ樹海の中にジグザグにつけられていますが、幅が広いながらも細かい砕石を敷き詰めたような道で、体重をかけるとずるっと滑りやすく、なかなか難儀します。特に疲れた下り道では転倒事故のないように十分注意しながら通過しましょう。
この急斜面を上り詰めると、いよいよ西穂独標の岩峰が間近にそびえています。狭い岩尾根を辿り、12峰と書かれた小ピークを巻いて独標の付け根に出ます。
見上げる独標はほとんど垂直ですが、実際に取り付いてみると足場は広くしっかりしており、鎖に頼らなくても上ることは可能で、見た目ほど怖くはありません。
ただし、かなり多くの登山者が上り下りしているので渋滞が発生します。足元の高山植物のお花畑を眺めつつ、焦らずに先行者の通過を待ちましょう。狭い独標の頂上は登山者でごったがえすため、できれば岩峰手前の小広場に荷物を置き、身軽になって挑むのがよいでしょう。
11峰と書かれた独標に立てば、西穂高岳へ続くピラミッドピークなど大小の岩峰群が目前にそびえ、背後に奥穂高岳から前穂高岳への吊尾根の稜線が続いて圧巻です。
この先、西穂高岳へは崩れやすい岩尾根を10余りのピークを上り下りしながら行く厳しいルートで、一般登山道としては北アルプスでも最も難しい登山道のひとつです。
そこで、独標で穂高の一端に触れたら、無理せず往路を戻るのがよいでしょう。
西穂山荘 通年営業 電話:(0263)95−2506
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