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新穂高温泉周辺の北アルプスはかつて豊かなブナの森に覆われていましたが、長年の森林伐採によって、原生林は姿を消してしまいました。わずかに残されたブナの巨木に会えるのは、笠ヶ岳のふもと、左俣林道を約1時間歩いたわさび平です。
笠ヶ岳登山口からわさび平小屋周辺にかけて、見上げるほどのブナの森が広がっています。緑豊かな森からは澄み切った清水がごんごんと湧き出し、わさび平小屋の水屋は、北アルプスを行き交う登山者の喉を潤してくれます。
新穂高ロープウェイの中間駅にあたる鍋平高原には、白樺林が広がっています。
白樺の涼しげな白い幹には、いかにも高原らしい爽やかさがあります。白樺は陽樹といって、明るい太陽の下でしか育ちません。白樺林の中ではもう次の白樺の木は生育できず、日陰でも育つ針葉樹などの暗い森にだんだん置き換わっていきます。
鍋平高原の白樺林は、ここが開拓地やスキー場として切り開かれ、後に放置された原野に育ったもので、いわば人間が作り出した森だといえます。
新穂高ロープウェイの終点・千石平の標高は2156m、周囲は亜高山帯のシラビソ、トウヒ、コメツガ、オオシラビソなどの大木が茂る針葉樹林です。林床には、ゴゼンタチバナやカニコウモリ、ヨツバシオガマ、ツバメオモトといった小さな花が見られます。
標高を上げると、針葉樹の樹高もだんだん低く、まばらになり、稜線の西穂山荘付近では、ダケカンバの林やナナカマドの潅木林に変わります。秋の紅葉で山肌が真っ赤に染まり、美しい光景を見せるのは、このあたりです。
西穂高岳はハイマツの樹海がよく発達しています。高山植物は乾燥した岩稜には少なく、西穂山荘の森林限界を抜けた丸山から、独標にかけて豊富に分布しています。
特に見事なお花畑は、独標手前の上高地を見下ろす斜面で、多くの種類の花を見ることができます。
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北アルプスは野生動物の大切な生活の場です。
ニホンザルはよく姿を見ますが、人間との棲み分けができていて、手を出さなければ悪さをしません。
ニホンカモシカは登山道に出没します。岩場をものとせずに歩き回ります。
その他、オコジョやタヌキなどがいます。 |
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