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槍ヶ岳から穂高連峰へ続く北アルプスの雄姿を間近にあおぎ、静かな池に山影を映す鏡平(2303m)は、双六岳経由で槍ヶ岳、雲の平方面、または笠ヶ岳への縦走ルートの途中にあって登山者でにぎわいますが、大パノラマを目当てに日帰りトレッキングの目的地としても手頃なところです。
新穂高→ワサビ平 約1時間/ワサビ平→新穂高 約50分 |
新穂高温泉から笠ヶ岳をあおぐ左俣谷沿いに林道を進みます。
水量の多い左俣谷は見事な渓谷で、途中の穴毛谷出合からあおぐ砂防工事が延々続けられている穴毛谷崩壊地と、遠くから眺める優美な姿から一変して、絶壁を連ねる笠ヶ岳も迫力があります。
笠新道の分岐を経て約1時間で、静かなブナ林に囲まれたワサビ平小屋に到着します。そこから10分ほどで森林を抜けると、抜戸岳から弓折岳にかけての稜線と、シシウド原の斜面が大パノラマで展開します。
ワサビ平→鏡平 約3時間/鏡平→ワサビ平 約2時間 |
鎖のかかった左俣谷の橋が小池新道分岐で、橋のたもとから谷沿いに登山道に入ります。ガレ場に白い石を積み上げた石畳の道を登り、潅木のトンネルを潜り岩根を踏んで急登します。
ぐいぐい高度を上げると、枝の間から槍ヶ岳や穂高岳の姿が現れ出し、勇気付けられます。この辺りは冬には雪崩が頻発する場所で、背の高い樹木が生育できません。
そのため、標高が低いながら意外にアルペン的な風景が展開して飽きません。
眼下を流れる左俣谷の瀬音が小さくなり、抜戸岳から落ちる沢の水音が近づくと、大きな石が転がるガレ場に一本橋がかかる秩父沢です。遠く開けた蒲田谷の向こうに噴煙を上げる焼岳や、優美なスカイラインを描く乗鞍岳が見え、休憩に最適です。
秩父沢からひと登りで秩父小沢の一本橋を越え、潅木帯を抜けて黒い岩がごろごろ積み重なったチボ岩を過ぎます。
岩根を踏む登山道はまだまだ続き、槍ヶ岳が鏡平の稜線に隠れると、背後には唐沢岳から奥穂高、西穂高に続く岩稜が競りあがってきます。太陽が当たると滝谷やジャンダルムなど穂高連峰飛騨側の大岩壁が全容を現し、壮観です。
樹林帯を抜け、イタドリの草原が広がるイタドリ原を直登ぎみにぐいぐい進むと、鏡平へのトラバース道を行く先行登山者の姿が見え出し、目的地が近いと実感します。
ひと登りで小広場にベンチが置かれたシシウド原に到着、ここから東方向へトラバースします。正面にはオオノマ乗越の稜線が見えますが、現在直登ルートは廃道になり、双六岳、笠ヶ岳へはすべて鏡平経由の登山道を行きます。
いったん樹林帯に入り、大きく鏡平の尾根を回り込むように進みます。笹原の斜面に変わり、小さな湿原をいくつか抜けて最後に急登すると、木道になって標高2303mの鏡池畔に到着です。
目の前にはひときわ高く槍ヶ岳がそびえ、中岳、大喰岳から南岳へ続く主稜線、大きくえぐれた大キレット、その先に穂高連峰の岩峰が続き、北アルプス有数の展望台です。木製のテラスが迫り出す鏡池が山々を映して静まり返っています。
鏡池からチシマザサに囲まれた木道を行くと、すぐに鏡平山荘があり、山荘の隣にも木橋のかかる池があります。背の低いコメツガや笹原に囲まれた池は日本庭園のような趣で、できれば山荘に1泊して雄大な山岳風景を堪能したいところです。
わさび平小屋 7月〜10月 電話:(0577)34−6268
鏡平山荘 7月〜10月 電話:090−1566−7559
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