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温泉街から173段の石段を登った高台にある臨済宗の禅寺です。
下呂温泉の発見伝説にまつわる薬師如来像が本尊で、かつて湯ヶ峰の山頂近くに湧いていた温泉が突然出なくなって村人が悲しんだとき、薬師如来が白鷺に姿を変えて、村人に新しい温泉のありかを伝えたといいます。
江戸時代、下呂温泉から北海道に渡って財を成した豪商・飛騨屋武川久兵衛によって現在の伽藍が寄進され、円空も滞在して多くの円空仏を残しました。
境内から温泉街を一望する眺めが素晴らしく、桜や紅葉の季節にはライトアップも行われ、幻想的な光景が広がります。
昔むかし、下呂温泉は今の飛騨川ではなく、東にそびえる湯ヶ峰の山中に湧いていたといいます。傷や病気に効くお湯をふもとの村人たちは大変ありがたがっていました。
ところがある日、大地震が起きて湯ヶ峰の温泉は突然止まってしまいます。温泉を失った村人たちは嘆き悲しみました。
しばらく後、ある村人が川原で傷ついた一羽の白鷺が休んでいるのを見ました。あくる日も、その次の日も、同じ場所で白鷺が休んでいます。不思議に思って様子を見に行った村人は、川から湯気が立って、温泉が湧き出しているのに気づきました。
さぁっと飛び立った白鷺について山の方へ向かった村人は、松の木のそばに薬師如来像を見つけました。
これは温泉を失くして悲しんだ人々を哀れんで、薬師如来が川原の温泉を教えてくれたのだと村人たちは噂しあい、白鷺が飛んでいった中根山の中腹に薬師如来像を祀る温泉寺を建立したと伝わります。
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温泉寺本堂には病気治癒を願って奉納された江戸時代の絵馬が掲げられています。
天保7年(1836)伊勢国桑名の住人・直七は、病気治療のため駕籠に乗って下呂温泉へやってきました。
湯治ですっかり元気になった帰りには、喜びいさんで歩いていく様子を描いた絵馬を奉納しました。あまりの回復ぶりに駕籠かきが驚くほど効果があったようです。 |
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温泉寺観音堂に安置された石は猿のお墓だと伝えられ、次のような民話があります。
昔むかし、心優しい百姓が住んでいました。ある日、山の畑でみなしごの子猿を見つけ、猿がよくなついたので家に連れて帰って可愛がりました。
子猿は大きくなると百姓を助けてよく働き、養蚕の繭の見張りをすれば鼠にやられる害もありませんでした。やがて猿が病気で亡くなると、百姓は石を置いてお墓とし懇ろに弔いました。
いつからか、その石の周囲にある小石をもらって帰ると鼠除けになるとの噂が広がり、今では願い事を叶える「パワーストーン」としても知られるようになりました。
かつて「まんが日本昔ばなし」にも登場しました。
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温泉寺では、4月〜9月の毎週土日(8月はお盆以外の毎日)早朝に座禅会「静坐会」が開催されています。朝6:30に温泉寺に集合、という早起きが必要ながら、毎回、下呂温泉の旅館に宿泊した観光客の方に、「温泉に入って、早朝座禅で心も癒された」と好評です。詳しくは宿泊する旅館でお尋ねください。
〇湯之島温泉街の白鷺の湯付近の十字路を山手に進み、石段を上がる。
〇車の場合は石段下から市道を湯之島館方向へ進むと境内の上に駐車場あり。
住所:下呂市湯之島
Tel:(0576)25−2465
境内自由 |
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