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約5万年前、御嶽山が大噴火したときに流れ下った巌立溶岩流に囲まれた濁河川の絶壁の谷間に、いくつかの滝が流れ落ちる巌立峡があります。
まず三ツ滝を訪ねて峡谷の遊歩道を歩けば、夏でも寒いほどの水しぶきを浴びます。さらに林道を進むと神秘的なあかがねとよ、からたに滝の2滝があり、林道の奥から本格的な登山道を2km歩いて行くと、御嶽山麓で最大の根尾の滝に達します。 |
下島温泉の立ち寄り温泉施設です。
源泉は湧出時には無色透明ですが、空気に触れると鉄分が酸化してオレンジ色に変わります。炭酸含有量は強烈で、日本有数のもの。成分が濃い証拠に、お湯の投入口にはオレンジ色の温泉華がこんもり堆積しています。
掛け流しの内湯と巌立の溶岩流の末端を見上げる露天風呂、冷たい源泉風呂、薬草風呂、サウナ、ジャグジーなどがあり、レストランや広い休憩室も備えています。
興味深いのは、館外に設けられた飲泉場です。別名サイダー泉とも呼ばれる炭酸泉ですが、鉄分を多く含むため、かなりえぐい味がします。体を内部から温めて、胃腸病や風邪に効果があります。
10時〜21時 600円 休:年4回 電話:(0576)62−3434
泉質:炭酸泉 泉温:18℃
効能:飲浴両用で消化器病、皮膚病、肝臓病、神経痛、腰痛、リウマチ、痛風、貧血
下島温泉は巌立峡の入口、濁河川の清流に臨むひなびた温泉地です。
御嶽山溶岩流の最末端が、尖った奇怪な岩峰となってそびえています。その直下が旧御嶽山登山道一合目で、一之鳥居や休憩所、岩の門などがあって当時の雰囲気を残しています。県指定天然記念物「巌立」まで、岩間に囲まれた旧登山道の「くらがり八丁」を通る散策が楽しめます。
古くから外傷によく効く「傷湯」として知られ、飲用しても効果があります。現在2軒の温泉旅館と、立ち寄り湯「巌立峡ひめしゃがの湯」が営業しています。
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広大な国有林があった御嶽山麓には、戦前から昭和30年代まで、営林署の森林鉄道が走っていました。中でも濁河線は、下線と上線に分かれ、深い谷間を索道で中継するという珍しいものでした。
軌道跡の面影はほとんどありませんが、森林鉄道の機関車がひめしゃがの湯に展示されています。 |
下島温泉から、岩壁に囲まれた昼なお暗い「くらがり八丁」の道を車で進むと、前方がぱっと開けて、濁河川と兵衛谷の合流地点にそそり立つ大岩壁が出現します。県の天然記念物「巌立」です。
約5万年前に御嶽山が大爆発を起こしたときに、その溶岩は濁河川の谷間を流れ下り、延々15kmにも及ぶ溶岩台地を形成しました。巌立はその溶岩流の先端部分が冷えて固まったもので、高さ72m、幅120mの大きなものです。
溶岩が冷えるときに、垂直方向の柱状に固まるため、無数の岩柱を並べたような柱状節理ができました。駐車場や売店のある巌立公園の展望台からは、迫力のある巌立の姿を間近に眺められます。
春の新緑や秋の紅葉が特に美しく、4月に「滝開き」、10月には「紅葉まつり」も開催されます。また、紅葉時期と、厳冬の巌立が凍りつく時期にはライトアップも行われます。
電話:(0576)62−2911
巌立の断崖の下を流れる兵衛谷に沿って遊歩道が伸びています。
溶岩の岩壁に囲まれた峡谷はかなり狭く、覆いかぶさるような圧迫感があります。
遊歩道は間伐材や鉄製でできた丈夫な桟道で、岩と岩の間に架けられています。
入口から階段を下り、谷間に沿って約600m行くと、巌立峡の観光スポット「三ツ滝」です。高さ22mを3段に分かれて豪快に落下する滝は水量豊富で、すぐ脇を鉄製の階段で上るため、吸い込まれそうな迫力があります。
中段の岩穴には、円空作という不動明王が祀られ、上から見下ろす滝壺は神秘的な深い青色をしています。
滝見遊歩道から上流へ2km歩くと、隣り合う2つの滝があります。車の場合は林道を利用でき、駐車場から川べりへ歩いて下ります。
からたに滝は豪快な水量を誇る落差15mの滝です。
あかがねとよ滝は水量が少ないものの、溶岩が侵食されてできた樋状14mの滝に、滑るように水が流れています。とにかく透き通った滝壺の青さが印象的な美滝です。
からたに、あかがねとよの両滝から、さらに林道を奥に進むと、根尾の滝入口の駐車場があります。
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約5万年前、御嶽山が大噴火したときに流れ下った巌立溶岩流に囲まれた濁河川の絶壁の谷間に、御嶽山麓で最大の根尾の滝がかかっています。
日本の滝百選にも選ばれた名瀑を眺めるためには、片道2kmの登山道を歩いていかなくてはなりません。 |
根尾の滝登山口→根尾の滝:1時間/根尾の滝→根尾の滝登山口:1時間 |
巌立峡の公園を過ぎ、唐谷・あかがねとよの両滝を過ぎて林道を車で行くと、溶岩台地の上の登山口に駐車場とトイレがあります。少し林道を進むと、落ち葉でふかふかになった旧御嶽山登山道に入り、いにしえの登山道2合目の石碑が立っています。
ここから溶岩が堆積した急斜面を濁河川の谷底まで急降下します。ところてん岩と呼ばれる柱状節理がむき出しになった急坂を、標高差150m余りも一気に下るので、帰りが思いやられるところです。谷底に下りると、吊橋で対岸に渡ります。
展望がきかない川沿いの樹林帯の道を行きますが、小さな起伏が連続して距離よりも長く感じます。しばらく行くと木製の展望台が設けられ、谷の対岸に巨大な岩壁が見えています。あまどり岩と呼ばれる溶岩壁には大きくえぐられた窪みがあって、イワツバメが飛び交っています。
さらに進むと、大きな石がごろごろする谷間に下り、ようやく前方の岩壁に根尾の滝が現れます。覆いかぶさるような圧迫感のある岩壁に囲まれ、高さ60mを一文字に流れ落ちる美しい滝です。
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