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五の池小屋を拠点に、三ノ池、四ノ池を巡って継子岳に登り、五の池小屋へ周遊するコースは、北アルプスの展望が開け高山植物も豊かな別天地です。剣ヶ峰から離れているせいか、北部へ足を伸ばす登山者もまだまだ少なく静かな山旅が満喫できます。
四の池へ 五の池小屋→四の池:約30分/四の池→五の池小屋:約40分 |
五の池小屋から足元の三ノ池をめざしてぐんぐん下ります。ハイマツの急斜面に作られた道は、雨でえぐれて滑りやすい箇所もあるので注意しましょう。尾根道の北には円形劇場風の丸い火口に無数の小川が流れる四ノ池があり、南には神秘的な深い青色をした三ノ池があります。
三ノ池火口壁に下り立ち、ぐるっと三ノ池を半周するように剣ヶ峰方向へ進むと、三ノ池畔に下り立ちます。ここは開田口登山道の頂上・開田頂上と呼ばれ、鳥居の立つ池畔では法螺貝を吹く行者を先頭に、御嶽教信者が列をなす姿が見られます。三ノ池は酸性の強い水で腐ることがなく、ご神水として信者の間で崇められています。
西には摩利支天の巨大な山容が急な崖になって落ちており、アルマヤ天もするどいピークを見せて、穏やかな御嶽山北部にあって、なかなか荒々しい山岳風景です。
元の道を戻り、今度は四ノ池へ下りてゆきます。円形の火口壁に囲まれた四ノ池は、東端が切れて滝となって落ちています。この滝は御岳ロープウェイ駅からしか見ることができないので「幻の滝」とも呼ばれます。
四ノ池は、東端で水が流出してしまい湖水を留めませんが、氷河跡のカールを思わせる広大な火口には雪渓から無数の小川が流れて湿原地帯を作り出し、御嶽山でも随一の高山植物の宝庫になっています。まだまだ知られざる別天地です。
ところが、湿原に入り込んで高山植物を踏み荒らす心無い登山者も目に付きます。木道など、自然を保ちつつ四ノ池の素晴らしさを味わえる施設の整備は望まれますが、せっかくの別天地を荒らすことのないよう、気をつけましょう。
継子岳へ 四の池→継子岳:約40分/継子岳→四の池:約30分 |
四ノ池の流れを越えて、継子岳のピークにとりつきます。踏み跡程度だった道を、五の池小屋の努力で登山道に整備が進められています。岩も多く、なかなか難儀な登りをこなすと、継子岳U峰です。岩がごつごつした頂上からは、すぐ隣の乗鞍岳を先頭に、北アルプス連峰の峰々が大パノラマで広がります。南には4kmにわたって続く御嶽山の山頂部が一望できます。
継子岳本峰へ続く尾根はザラ地ですが、開田中学校の生徒によって保護育成されているコマクサ群落があります。皿状の石が積み重なった継子岳頂上に着くと、足元に日和田高原の雄大な山裾が広がっています。見渡す飛騨高原の大地には、大小の山々が重なり合い、ゆるやかな丸みを帯びて続いています。
地球の丸さが実感できる場所です。
五の池小屋へ 継子岳→五の池小屋:約30分/五の池小屋→継子岳:約30分 |
チャオ御岳スノーリゾートへの日和田口登山道を分岐して、主稜線を五の池小屋へ戻ってゆきます。ハイマツの樹海が四ノ池へと下りてゆく広い稜線は、高天原と呼ばれています。
やがて皿状の石が無数に立てて突き刺さった奇妙な一帯を過ぎ、大岩をいくつかやりすごすと、御嶽山随一のコマクサ大群落がザラ地に広がっています。五の池小屋が丹精こめて保護したコマクサ群落です。観察用の展望台もあるので、踏み荒らさないようにしましょう。ここからすぐに五の池小屋です。
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