|
|
標高1800m、御嶽山6合目に位置する濁河温泉の春は平地よりずっと遅くに訪れます。
5月の連休は原生林に積雪がうず高く残り、御嶽山北麓のチャオ御岳スノーリゾートはゴールデンウィークまで営業しています。
やがて、新緑がいっせいに芽吹き、山菜取りの季節になります。遅い春は雪解けを追い、山頂めがけて斜面を駆け上ります。 |
他の登山口よりも早く、6月15日に濁河口が山開きします。おかめと天狗と金蔵獅子が登山道を清め、夏山シーズンの安全を祈願します。
高山帯には雪渓が残り、まだ梅雨の季節ですが、学校登山の子どもたちが飛騨頂上をめざします。濁河口の登山道は子どもたちが安全に歩けるようにしっかりと整備されています。
残雪をたっぷり抱いた山頂部と、キバナシャクナゲの花、梅雨の晴れ間は御嶽山が最も美しいときです。
待望の梅雨明けで本格的な夏山シーズンが幕を開けます。
御嶽山の木曽側が見せる、火山特有の赤茶けた荒々しい景色と異なり、御嶽山飛騨側はお花畑に高山植物が咲き競い、雷鳥の親子が遊ぶ別天地です。神秘的な火口湖やカルデラ原をめぐる変化に富んだ風景も魅力です。最高峰の剣ヶ峰まで距離は比較的長いのですが、全国有数の信仰登山の場である木曽側に比べて、登山者の数は少なく、静かな山歩きが楽しめます。
濁河温泉ですごす夜、高地だけあってお酒の酔いは早くまわります。せっかく御嶽山へ来たのなら、外へ出て満天の星空を眺めてみてください。空気が澄んで星座がよく見える・・・って、違います。大小の星がありすぎて、逆に星座の判定が難しいほどです。
流星群じゃなくても、少し夜空を見上げているうちに、ふたつ、みっつと流れ星を見ることができます。天空にひと筋の雲が流れているなあ、と思っていたものが、天の川だと気づいたときは、もう感動ものです。
濁河温泉の朝は雲上の世界。はるか広がる雲海の向こうには、鯨のような白山が浮かんでいます。
時間があるなら、御嶽山を日帰り登山ではなく、飛騨頂上の五の池小屋に泊まってみてください。木の香も新しいきれいな山小屋で、6月1日〜10月15日まで、御嶽山で最も長く営業しています。
10月になると濁河温泉周辺は紅葉が見ごろになります。
目を見張るような鮮やかな紅葉は、ナナカマドが真っ赤に染まる高山帯や、尾根から濁河川の峡谷にかけて標高差400mにわたり黄や紅の錦秋に包まれる御嶽パノラマライン沿いに広がります。
濁河温泉周辺ではカラマツ林の黄葉が見事です。どこまでも黄金色の波が打ち続き、秋の早い夕陽を浴びて輝きます。
10月の初め頃、山頂付近に初雪を見た御嶽山は、11月には濁河温泉にも降雪をもたらし早くも冬がやってきます。東海地方で最も早くオープンするチャオ御岳スノーリゾートは、海から遠く、標高が高いために最高雪質のアスピリンスノー。湿度がないから、握ってもさらさら崩れて雪球になりません。
きーんと冷え込んだ朝には、空気中の水分が凍りつくダイヤモンドダストが太陽光をきらきら反射しながら辺りを舞います。
太平洋気候に属する御嶽山は豪雪地帯でなく、晴天率も高いので、濁河温泉への道もよく除雪されています。雪山の表情は厳しいですが、その美しさもまた格別です。ぜひ一度、雪の御嶽山もご覧ください。
|
|