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御嶽山飛騨側からのメインルートです。
木曽側ルートに比べ、剣ヶ峰までの道程が長いですが、火山性の赤茶けた斜面の木曽側登山道に対し、濁河温泉からの道は高度によって様相を変える針葉樹林や、トルコブルーの高山湖、高山植物のお花畑と自然景観の豊かさは御嶽山随一です。 地元では学校登山の山として親しまれていることから、ルート整備も行き届いています。
濁河温泉→飛騨頂上:約3時間/飛騨頂上→濁河温泉:約2時間 |
濁河温泉の最奥にある嶽橋手前の市営駐車場に車を止め、登山届BOXとバイオトイレのある登山口から、直下に草木谷の急流を見下ろしながら嶽橋を渡ります。
橋の対岸は御嶽里宮、境内に霊神碑が並びます。秘境であったために、御嶽教の影響が薄い飛騨側登山道では唯一の宗教オブジェです。キャンプ場跡地の草原で仙人滝への遊歩道を分け、しばらく苔むした岩根を踏みながら森の中を進みます。
草木谷沿いの岩壁に架けられた桟道に変わると、足元に爆音を轟かせて仙人滝が落下する様子が見え、上流の仙人橋に到着します。ここまでが距離700mで第1ピッチ、登りもきつくないので体調や歩行ペースを計りながら歩きましょう。
鉄製の吊橋を渡ると本格的な登りの始まりです。御嶽山特有の割木を横に並べた木道が続き、うっそうと茂る針葉樹林には風通しも展望もなく辛いところです。雨の日や下り道の場合は足元が滑りやすいので注意しましょう。
標高2000mの七合目、岩穴に自生するヒカリゴケ、ジョーズ岩などが単調な登りのアクセントになります。頭を突き上げた鮫に似ているジョーズ岩のプレートに、わざわざ(人食い鮫)とあるのは、学校登山の子どもたちとジェネレーションギャップがあるからなのでしょう。
登山口の0番から飛騨頂上の42番まで、4.2kmの登山道に100mごとに設けられた距離数のプレートに励まされながら急登をがんばると、ようやく尾根筋に出て第2休憩ポイントの湯ノ花峠に到着します。
鐘の吊るされた岩から草木谷が切れ落ち、摩利支天の大きな山塊がそびえます。
谷間に湧く温泉の硫黄臭が風に乗って尾根を越えるため湯ノ花峠と名づけられました。
ここから尾根道を進みます。ペイントされたかえる岩(無事かえる)が退屈な森林帯の登りをなぐさめてくれます。路傍には花も現れだし、コメツガの樹林越しに摩利支天稜線を見ながら登ると、胡桃島キャンプ場からの登山道と合流します。胡桃島ルートも同じような木道なので、下りの場合は間違えて入らないように注意しましょう。
ここから数十メートルで第3休憩ポイントののぞき岩です。
草木谷に突き出した巨岩は危険防止のためにロープで規制され、その向こうに高山帯のハイマツ原が濃緑に輝いて見えます。簡単なプレハブ避難小屋とトイレがありますが、どちらも使用に耐えられる代物ではありません。
頑丈な木製階段や石畳の道に改良が進む尾根道をさらに辿ると、樹高はだんだん低くなり、高度を稼いだことが分かります。長年の風雪に耐えた針葉樹林の中に、岩に囲まれてぽっかり開けた広場に出ると、第4休憩ポイントお助け水です。 今では湧き水も涸れ、避難小屋も倒壊してありません。
ここから針葉樹は消え、ダケカンバが茂る岩間の道に変わります。雨水で溝状にえぐれて歩きにくい道をひと登りで、森林限界を越え、ハイマツの大斜面に飛び出します。足元には樹海の中に、島のように濁河温泉街が浮かんでいます。御嶽山の大斜面が長く裾野を広げる先には、飛騨の山波が続き、はるかに白山まで見通せる大展望です。見上げる先には継子岳の稜線が近づき、ジグザグを繰り返しながら登っていきます。
やがて、ハイマツ原から火山特有のザラ地に変わると、摩利支天を背景に五の池とお花畑が見え、池畔の高台に建つ五の池小屋に到着します。小屋の背後にはロープで保護されたコマクサの大群落があり、霊神碑の立つ飛騨頂上からは、足元に神秘的な三の池、剣ヶ峰や木曽谷をはさんで屏風のように連なる中央アルプス連峰、木曽駒ヶ岳越しの富士山まで、文句なしの大パノラマが広がります。
飛騨頂上は御嶽山北部の十字路で、剣ヶ峰へ向かうメインルートをはじめ、摩利支天や継子岳、三ノ池、四の池など、御嶽山の知られざる秘境に登山道が延びています。 時間が許せば、ぜひ一泊して、御嶽山北部の大自然を感じてみましょう。
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