|
小秀山は御嶽山を間近に望む山として人気がありますが、加子母の乙女渓谷から、滝や絶壁を越える厳しい道のりを、7時間かけて周遊しなければならず、初心者向きとはいえませんでした。
その小秀山に画期的な新ルートが木曽王滝側から開通しました。舗装道路の白川林道を使えば、標高1300mの岐阜県境・白巣峠の登山口まで容易にアクセスでき、そこからほぼダイレクトに約1時間30分で登頂が可能です。
登山口までのアプローチが長いのが難ですが、小秀山に挑戦しやすくなりました。
白巣峠→小秀山 1時間30分 / 小秀山→白巣峠 1時間 |
白川林道を進み、県境の白巣峠を望む手前に小広場と登山口の標識があります。
ヒノキの若い植林に囲まれた登山道の入口はやや分かりにくいですが、一歩踏み込むと、有害鳥獣防止柵が張り巡らされており、ゲートがあります。「しっかり閉めること」と注意書きがありますが、半壊状態です。もし修繕されていれば、通ったあとは閉めておきましょう。
そこから頭上の尾根まで、急な斜面を息も切らさぬ直登が続きます。植林されたばかりの若い人工林は、後ろから太陽が照りつけて夏は厳しい場所です。のっけからの急登りに息が上がり、心臓がバクバクしますが、あまり焦らないようにペースを維持して進みましょう。
背後の県境・白巣峠の車道がだんだん小さく遠ざかる頃、ようやく尾根に出ます。
尾根にも植林帯を守る鳥獣防護柵が張り巡らされ、ゲートを潜ります。このゲートもほとんど壊れて用を成していません。目の前が開けて、御嶽山剣ヶ峰から三笠山にかけての稜線がすっきりしたスカイラインを描き、中央アルプスの峰々も立ち現れます。
あとはヒノキの尾根道となり、傾斜がゆるくなって幾分楽になります。手前のピークを越えると、白川の谷をはさんで、初めて小秀山の頂上が見えます。
ピークを越えると道は一旦大きく下ってまた登り返します。ここに、どこからでも目立つ大岩が立ち、その形から「ふくろう岩」と呼ばれて登山道のアクセントになっています。
ふくろう岩からは再び急な直登になって、頭上のピークまで結構なアルバイトを強いられます。振り返るたびに、ふくろう岩が小さくなっていくのが慰めになります。
ピーク手前には、枯れ木が自然の庭園のようになった場所があり、亜高山帯の針葉樹原生林の中に、巨岩が点在しています。巨石の間を縫って稜線を進むと、松林の中をゆるやかに登っていきます。
熊笹が茂った松林の中は、時折ふっと獣臭を感じるほど山深い雰囲気があり、熊が出ないか緊張するところです。熊よけの鈴などが必要でしょう。いくつか巨岩を通り、最後の急登りをひとつやり過ごすと、乙女渓谷からの登山者でにぎわう小秀山の山頂に、唐突に飛び出します。
山頂は小さな広場になっていますが、シャクナゲの林を下りた場所に大きな一枚岩があって、そこからは正面にどーんと大きく御嶽山がそびえています。
御嶽山南面に最も近い、とされる場所だけあって、地獄谷の噴気孔や長野県西部地震の大崩壊地を大迫力で眺められます。
国道19号線の木曽町から、王滝村方面に牧尾ダム湖畔の道を走ります。王滝村で、滝越集落への道に進み、約10kmで滝越集落。長野県西部地震でできた自然湖などの見どころが途中にあります。
集落の中ほどに、キャンプ場水交園があり、そこを過ぎて、国有林内の森きちキャンプ場に続く白川林道に入ります。舗装された林道を直進すると、岐阜県境の白巣峠手前の登山口です。県境にはゲートがあって、通り抜けはできません。
|
|