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五の池小屋→剣ヶ峰 約2時間/剣ヶ峰→五の池小屋 約1時間30分 |
五の池小屋が建つ御嶽山飛騨頂上から最高峰・剣ヶ峰を目指します。
飛騨頂上から南に進路をとると、道は摩利支天山の稜線を越える道と、摩利支天の三ノ池側斜面をトラバースする道に分かれます。展望がいい前者を行きます。 のっけから摩利支天の急斜面をジグザグを繰り返しながらの急登になります。息を切らさないよう、ゆっくり上がっていくと、五の池小屋がみるみる小さくなり、その背後に乗鞍岳を筆頭にした笠ヶ岳、槍・穂高連峰の大パノラマがぐーんと立ち上がってきます。
やがて鳥居の立つ摩利支天の稜線鞍部に到着します。摩利支天の頂上はここから稜線沿いに西へ20分行ったところにありますが、やせ尾根をトラバース気味に上り下りする道で注意が必要です。
二ノ池と摩利支天のカルデラ壁の間に、窪んだ形の平原が広がり賽の河原と呼ばれています。
飛騨頂上側の急斜面に対して、前方の大きなカルデラ原は、鞍部との高低差があまりありません。石と草地の混じる平原は、かつて古御嶽山の山頂が大噴火で吹き飛んだ際に陥没してできたもので、吹き飛ばされた古代御嶽山の名残が摩利支天、継母岳、王滝頂上などの斜面です。
ここは御嶽教信者にとって先祖の霊が集まる場所で、至る所に小石でケルンが積まれ、お地蔵様が祀られて、一種独特の雰囲気があります。登山道も錯綜しているので、霧が出たときなど、迷いやすい場所です。
飛騨頂上から三ノ池上の斜面をトラバースしてきた道と白龍教会避難小屋で合流します。ここからは眼下に三ノ池が見えます。イワギキョウのお花畑が点在するものの、荒涼とした賽の河原を横断して二ノ池畔に出ます。道はいくかありますが、賽の河原の東を二ノ池小屋に直登するルートと、二ノ池新館を経て二ノ池に至るルートになります。
湖畔に二ノ池小屋が建つ二ノ池は、日本最高所の高山湖です。酸性度が高く、神秘的な青い水をたたえた対岸に、万年雪を抱いています。
二ノ池の脇を通り、稜線に取り付くと、火山灰と砂礫が混じる火山特有の斜面が頂上へ続いています。足を踏ん張るとザラザラと崩れる歩きにくい道で、特に下りのときは滑らないように注意が必要です。 ひとがんばりで頂上山荘の建つ剣ヶ峰直下に辿り着きます。
頂上山荘の脇から急な82段の石段を登り、鳥居をくぐると、頂上の広い平坦地に御嶽教の霊神碑が立ち並ぶ御嶽神社奥宮、社務所があります。その北端は溶岩が重なった自然の山頂で、真下に一ノ池と神秘的な湖面の二ノ池を見下ろし、360度の展望が広がります。
社務所の脇を抜けると、岩間から壮絶な地獄谷の崩壊地が一望でき、シューシューゴーゴーとジェット機のエンジン音のような轟音とともに、硫黄臭い噴気が立ち上ってすごい迫力です。
三十六童子お鉢めぐり・三の池トラバース道を経て飛騨頂上へ |
帰りは来た道を戻ってもいいですが、体力と時間があれば、一ノ池火口壁をめぐる三十六童子お鉢めぐりを行くのも楽しいコースです。 剣ヶ峰の社務所の裏から、岩場の道が下りています。下りきるとザラザラの砂礫の道がゆるやかに続き、右に一ノ池、左に奇怪に切れ落ち、硫黄臭い水蒸気を上げる不気味な地獄谷火口を見下ろしながら進みます。
時おり、背後の剣ヶ峰から風に乗って歓声が聞こえてきますが、お鉢めぐりの稜線を行く人影もまばらで、不思議な感覚を味わえます。
やがて、目の前のピークにとりつき、ひと登りで県境です。標高3050m、一ノ池火口壁上のピークは飛騨側としては最高峰ですが、なぜか名前がありません。釈迦の弟子である三十六童子の碑が祀られていますが、1つの碑でなく点在しているのでその名でもないようです。もしかしたら日本最高の無名峰でしょうか。
砂漠のような荒涼とした一ノ池をはさんで剣ヶ峰と向かい合い、火口壁上を進むと、南に継母岳が見えます。
御嶽山には珍しいピラミタルな鋭鋒で、御嶽山主峰との間には、ゆるやかそうなハイマツの大斜面が広がっています。そのまま継母岳まで登れそうな気もしますが、登山道は長野県西部地震で崩壊したため行くことはできません。
さらに進むと、二ノ池側へザラザラの斜面を急降下します。眼下に万年雪と神秘的なトルコブルーに輝く二ノ池が広がり、そのまま湖面にダイビングしそうな感じです。
ジグザグを繰り返して湖畔に下り立ち、二ノ池小屋の脇から賽の河原へ降ります。
賽の河原を横断して登り返したところが、鳥居と避難小屋が建つ白龍教会。摩利支天鞍部へ向かう道と、三ノ池側にトラバースする道の分岐点ですが、現在、白龍教会小屋付近の道標が立つ場所は崩壊して通行止めなので注意してください。
新しい分岐は道標より50m上に進んだ場所から、尾根を越えて三の池トラバース道に下りて行きます。
眼下に御嶽山最大の三ノ池を見下ろしながら、トラバース道を行きます。途中で三ノ池へ下りる道を分岐しますが、この辺りは高山植物も豊富で雷鳥の姿もよく見かけます。
最後にちょいと登り返せば、飛騨頂上に戻ります。
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