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平湯峠を経由して乗鞍岳に取り付き、標高2702mの畳平までをつなぐ全長14kmの山岳道路です。日本最高所の道路ながら歴史は古く、戦争中の昭和16年(1941)に航空機エンジンの実験場を造るため陸軍によって建設されました。
戦後まもない昭和23年(1948)から乗鞍登山バスが運行されて観光地・飛騨のさきがけとなり、有料道路・乗鞍スカイラインになってからは、信州側のエコーラインと共に観光客のマイカーが押し寄せ、シーズン中には駐車場に入りきれない車で大渋滞が起きるなど、環境問題も抱えました。
平成15年(2002)、有料道路の償還期限が切れた乗鞍スカイラインは無料化と同時にマイカー乗り入れ規制を実施して、現在はシャトルバスや観光バス、タクシーのみの受け入れに変わりました。
平湯バスターミナル発のシャトルバスは、マイカー駐車場のある朴木平バスターミナルを経由して、標高1684mの平湯峠から乗鞍スカイラインの旅が始まります。
ヘアピンカーブの続く針葉樹林の中をうねうねと高度を上げていくと、西側には、飛騨の山々に雲海が広がり、かなたに残雪に輝く巨鯨のような白山が姿を現します。
やがて、北側に笠ヶ岳から槍・穂高連峰にかけての北アルプスが雄大なパノラマを展開し、思わず歓声があがります。バスはさらに高度を上げて、豪雪と強風のために奇怪に捻じ曲がったダケカンバ林を抜け、緑のじゅうたんを敷き詰めたようなハイマツ樹海に出ます。ここはもう高山帯、雲上の世界です。
四ツ岳と大丹生岳に挟まれたヘアピンカーブ辺りの草原は「土俵ヶ原」と呼ばれ、乗鞍岳でも特に積雪や強風で知られたところ。ヘアピンカーブを上りきれば、平坦なハイマツ樹海と高山植物のお花畑が交互に現れる「桔梗ヶ原」が広がります。
進行方向には最高峰の剣ヶ峰を中心に乗鞍山上の峰々が連なり、まもなく終点、畳平に到着します。
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