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北アルプス乗鞍岳は、日本の名だたる峰々のなかで最も容易に3000mの頂上に立つことができる山です。
かつては、スカイラインやエコーラインを利用するマイカードライブの山として、観光地の側面が強調されてきましたが、環境に配慮したマイカー規制によって、ようやく乗鞍岳本来の自然の素晴らしさ、準備さえあれば誰でも楽しめるトレッキングが見直されるようになりました。
バスで到着する畳平は、もう標高2702m、はるか雲海のかなたに見える白山と同じ高さです。周囲を散歩すれば、高山湖や雪渓、高山植物のお花畑があり、北アルプスの展望が素晴らしい火口丘があって、頂上・剣ヶ峰まで上らなくても充分に自然の豊かさを実感できます。
ただし、3000mの気象は急変しやすく、夏でも風が強かったり、雨が降ると気温はぐっと下ります。防寒具や雨具を持参していきましょう。
畳平バスターミナルから階段を上ると、わずか15分で最も手軽に登頂できます。
細長い魔王岳の頂上にはちょっとした岩場もあって、意外に高山帯の雰囲気が味わえます。眼下に畳平や火口湖の亀ヶ池、鶴ヶ池を見下ろし、変わった視点からの眺めが楽しめます。
昔、円空上人が乗鞍岳の魔物を岩に閉じ込めた山と伝えられます。
畳平を取り囲む外輪山で、南北に長いゆるやかな起伏を描いています。
鶴ヶ池を見下ろす他、北の槍・穂高連峰や東の山々を眺める展望台へは徒歩20分、手軽な登頂ができ、コンクリート製の休憩舎と展望盤があります。
ご来光の名所として知られ、夏には山上に宿泊したり、深夜3時発のご来光バスでやってきた人たちが、東の雲海上から上る太陽を待ち構えます。
不消池を取り囲む火口壁の山で、ちょっと富士山に似た山容が特徴です。
畳平から剣ヶ峰に向かう車道は、富士見岳山腹をぬって不消池を通りますが、ザラザラした砂礫とハイマツが続く富士見岳頂上を通る稜線道もあります。魔王岳、大黒岳と共に、手軽に登頂できる峰で、ご来光の名所です。
畳平から剣ヶ峰へ向かう途中、摩利支天火山体の火口にあります。
火口壁の北側に開いた空間から、冬に大量の雪が吹き溜まり、その氷雪によって削りだされた氷食湖です。夏の遅くまで水面を雪渓が覆い、周囲は一面のお花畑です。
この池の水が畳平一帯の各施設の飲料水に使われています。
頂上に現在は使われていない旧コロナ観測所があり、作業用車道が通じています。
コニーデ型の円錐状火山である摩利支天火山体の火口壁で、不動岳、富士見岳と共に不消池の火口を囲みます。頂上は室堂ヶ原をはさんで乗鞍本峰に向かい合います。
畳平から剣ヶ峰へ向かうと、作業用車道の広い遊歩道は室堂ヶ原で終わり、本格的な登山道になります。肩の小屋と東大宇宙線研究所がある室堂ヶ原は、乗鞍本峰と摩利支天岳にはさまれた平原で、お花畑が広がります。
位ヶ原から登ってきた登山道は、大雪渓を通ってここへ出ます。大雪渓では夏の中ほどまでスキーを楽しむことができ、その様子は遊歩道の途中からもよく見えます。
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