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「飛騨の秘境」として知られる天空の村・飛騨市神岡町山の村の天蓋山(1527m)は、北アルプス笠ヶ岳から黒部五郎岳、北の俣岳、薬師岳へと続く飛騨・越中国境の北方稜線を手に取るような近さに眺めることができる北飛騨の展望台です。
天蓋とは、王侯貴族の使うようなベッドに付けられた覆いのことですが、この山は仏像に差しかけられた傘を意味しており、その名の通り傘を広げた山容をしています。
登山口へのアプローチが遠いながらも、比較的登りやすく、白樺林とブナ林に囲まれた天蓋山は、新緑や紅葉の絶景ポイントとして人気があります。
登山口→2時間→天蓋山/天蓋山→1時間30分→登山口 |
高山市上宝町から双六谷を経由する大規模林道でぐいぐい高度を上げ、山吹峠を越えて山の村地区に入ると、「ドライブイン夕顔の駅」があります。ドライブインと道を挟んだ山の村キャンプ場が登山口になり、入口に天蓋山登山者用駐車場があります。
保存された茅葺民家を横目に見て、白樺林と芝生に囲まれたキャンプ場の車道を上っていきます。キャンプ場のはずれに大きなグラウンドと炊事棟があり、登山届のボックスが用意されています。ここは標高1000mです。
登山口からは両側に美しい白樺林が続くゆるい道を行きます。
大谷川の小さな流れが出てきます。ここにはイワナもいるようです。やがて大谷川を離れていくつか谷を渡ると、「ここから急坂」の看板が出てきて、そのとおり尾根筋にまっすぐ伸びた急登が始まります。
木の根を踏みながら、息を切らせて高度を稼ぐと、樹林越しに北アルプスがちらちら見えだし、稜線が近いことに期待を抱きます。
ぽっかり開けた小ピークから少し傾斜がゆるくなり、ブナ林のなかを上り下りしながら進むと、かつての牧場跡である土塁を越えて「雀平」1370mのピークに出ます。
正面に天蓋山の山頂が大きく見え、振り返ると薬師岳から北の俣岳、黒部五郎岳まで北アルプスの稜線がなだらかに続いています。
雀平からゆるく下ってブナ林に入り、また出てきた急坂をぐんぐん上ります。ようやく頂上に着いたかと思わせますが、実は偽ピークで、また大きく下って登り返すのが辛いところです。山頂付近のブナの大木をめがけて力を出すと、小広い平坦な空間に、展望盤兼ベンチのある天蓋山の山頂に到着します。
山頂は高い樹木もなく、360度のパノラマが開けます。いままで見えなかった乗鞍岳や御嶽山も南に続き、西には上宝町の集落と、はるか白山が見えています。
東にはひときわ大きな笠ヶ岳がそびえ、黒部五郎岳、北の俣岳、薬師岳とのびやかなスカイラインを描いて立山まで続く大展望が楽しめます。
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国道41号線の高山市国府町から大坂峠を越えて、上宝町中心部の本郷集落を経て、大規模林道に入るルートが最も短いアプローチです。
山吹峠を越えると、山の村地区に入り、放牧場を過ぎると集落手前に「ドライブイン夕顔の駅」があります。 |
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