Panorama飛騨 飛騨路と北アルプスの絶景地ガイド

 
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白木峰トレッキング


 飛騨のほぼ最北端、越中の国境に位置するのが白木峰(1596m)です。
 高山盆地から北方を眺めると、春には北アルプスと並んで、最も遅くまで残雪が真っ白に輝く飛越山地が印象的です。なかでも白木峰は、富山県側から山頂直下に車道が通じており、アプローチが便利です。
 白木峰の名は、白い幹のブナ美林に由来しますが、ブナ林は伐採によって失われてしまいました。それでも日本海から吹き付ける強風と、冬の豪雪に襲われる稜線上は、チシマザサに覆われた擬似高山帯を成し、池塘が点在する高層湿原があって独特の景観が人気の山です。

登山口→山頂 30分 / 山頂→登山口 20分

 登山口から、木の階段をジグザグに登りはじめますが、急斜面を直登する階段に変わり、いきなり息が切れます。足元に見える駐車場がどんどん小さくなり、ブナの木が木陰を作る広葉樹林に入ると、ふっと林道の続きに飛び出します。
 林道を横断してまた登山道に取り付きますが、今度は足元がぬかるんだ泥道で、虫もうるさく、歩きにくい急な登り道がさらに続きます。また林道に飛び出して、今度はコンクリート擁壁に鎖がかかった狭いステップの階段を上がって登山道に入ります。
 ここは、ほとんど山頂を目前にしており、もう左手には避難小屋の白木峰山荘が見えています。潅木帯を潜るように上っていくと、ようやく視界が広く開け、一面のチシマザサの草原に、初夏ならばニッコウキスゲの大群落が広がる山頂部の一角に出ます。


 さきほどの林道の終点である広場を抜け、山頂の標識を見て、ゆるやかな稜線を歩いていくと、飛騨側から小白木峰を経由して縦走してきた登山道と合流して、一段高くなった白木峰山頂に到着します。
 富山県からはかなり急な道ながら、距離が短く、標高差もわずか200m足らずなのであっという間の到着です。丸いドーム状の山頂には展望指示版が設けられ、天気が良い日には北アルプスから日本海までを一望することができます。
 山頂から飛騨側に広がる樹林帯の高原は万波高原で、万波大根など冷涼な気候を利用した高原野菜や蕎麦の農地が広がっています。


 山頂を後にして東方向に進みます。一段下がった場所に、白木峰山荘と湿原へ続く道の分岐があり、白木峰湿原に下る道を行くと、山上に広い高層湿原が広がります。
 池塘が点在する湿原には木道が設けられ、それを道なりに進むと小ピークを越えて、ハイマツのように低く這う矮小ブナの潅木林やチシマザサとニッコウキスゲに覆われた稜線歩きが続きます。


 いくつかピークを過ぎると、一旦下って登山道終点の浮島の池に到着します。
 白木峰山頂で最も絵になる場所で、天を映す静かな池に白いワタスゲが揺れる浮島が浮かび、その周囲を木道が一周しています。目の前にある前白木峰にもニッコウキスゲの大群落が黄色く揺れていますが、現在では道のない薮山だそうです。


 浮島の池から登山道をそのまま引き返します。高層湿原の分岐で白木峰山荘への道を取ると、ピークをぐるっとトラバースして、青い屋根の瀟洒な避難小屋に着きます。
 白木峰山荘には太陽光発電パネルや暖炉もあって快適そうですが、トイレは閉鎖されて使えません。避難小屋から木の階段を下りると林道に出るので、そのまま急な登山道の方でなく、曲がりくねった林道を降りていきます。
 中間の林道と登山道の交差で登山道に入れば、まもなく登山道に到着します。なお、美しい池塘が点在する小白木峰へは、白木峰山頂から4kmの稜線を往復します。


登山口へのアクセス

 国道41号線で富山県に抜け、笹津で富山市八尾町に入ります。越中おわら風の盆で知られる越中八尾の古い町並みは狭く、道も複雑ですが、国道472号線と21世紀の森の案内標識を目印に車を進めます。
 国道472号線は室牧ダムを過ぎると道幅は狭く、山は深くなり、この先に集落があるのだろうか、と不安になるくらいの山中の酷道に変身します。
 八尾の中心市街から20kmあまりで、ようやく白木峰山麓の大長谷集落に出ます。
かつては独立した大長谷村で、隣接する五箇山地方と同じく合掌造り民家が並んでいた、という大長谷集落も過疎化が進んでいるようで、うら寂しい山村風景が続きます。
 集落のはずれにログハウスの白木峰倶楽部があり地産地消のレストランを併設しています。別荘地があり、地元の人々が運営する大長谷温泉から21世紀の森の案内を見て、左折した山道をぐんぐん上っていきます。山の中腹に21世紀の森キャンプ場があり、さらに狭い舗装林道を駆け上がります。
 10km余りの九十九折れの林道を進むと、山はますます高く、谷はますます深くなり、ガードレールもない道から転落しそうで恐くなります。特に初夏など、人気の集中する時期には登山者の車が連なるため、すれ違いに神経を使います。
 林道を上り詰めると標高1300m、山頂手前の800mの地点にゲートがあり、登山口の駐車場とコンクリート造りのトイレがあります。
 十数台の駐車が可能ですが、あっという間に埋まってしまうため、到着時間が遅いと林道脇に順番に駐車して、歩いて上ってくることになります。


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