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高山市の東、国立乗鞍青少年交流の家から乗鞍岳剣ヶ峰へ続く14qのロングトレイルが「日影平乗鞍岳歩道」通称「千町尾根」です。必ずしも登山道の全行程が熊笹の刈り払い等されている訳ではなく、歩きとおす登山者は少ない道です。
一方、コース途上にある丸黒山(1956m)までの6qは、山頂まで標高差が400mと小さくて済み、青少年交流の家の手で道もよく整備され、北アルプス笠ヶ岳から槍穂高連峰の雄姿、そして正面に乗鞍岳の全容を眺める飛騨随一のトレッキングコースです。
青年の家→2時間30分→丸黒山 丸黒山→2時間→青年の家 |
高山市の東、飛騨高山スキー場に向かって青年道路を上がり、終点・青少年交流の家駐車場に到着します。利用者の邪魔にならないよう、駐車場の隅に車を止め、広大な施設を迂回するように舗装道路を行くと、キャンプ場をすぎて登山口があります。なお、駐車場から先は乗り入れ禁止です。
青少年交流の家専用ゲレンデの草原の縁を歩き、カラマツ林の林道は大きくカーブを描きながら日影峠まで続いています。途中に展望台があり、キャンプ場からの道と合わせて、目の前に大きな谷間をはさみ、北アルプス連峰を一望できる絶景地です。
コース上には、青少年交流の家を起点に、丸黒山までの6qを100mごとに示した表示があるため、どこまで進んだかの目安になります。
林道終点の日影峠は南に向かって開け、青屋牧場の笹原越しに扇を逆さに広げたような御嶽山が優美な姿を見せています。登山道は直登の階段が日影山の山頂まで続きますが、白樺林に囲まれた日影平山には展望はありません。また、日影峠から青屋牧場を巻いてショートカットする道があるので、巻道を行けば体力を温存できます。
日影平山を下った鞍部から、また急な登り返しでブナの木平に出ます。大きなブナの木がある広い山頂で、北方が切り開かれてここも北アルプス槍穂高や笠ヶ岳の雄大な眺めを楽しめるため休憩によい場所です。
ブナの木平からまた下り、鞍部の岩井谷乗越に出ると、枯松平山の稜線上を行く新道と、尾根道をトラバースして無駄な上り下りをカットした旧道に分岐します。丸黒山までの尾根道は、似たような小ピークが連続して累計標高差が嵩むため、あえて展望のない樹林帯の新道を行かず、旧道で楽をした方がよいかもしれません。
尾根から降りてきた新道と合流する場所は、小広い枯松平です。きれいなログハウスの避難小屋「枯松平休憩舎」があり、ほっと一息つけます。カラマツ林越しに、丸黒山の樹林尾根が黒々とそびえているのが分かります。
枯松平の名は、明治時代から戦時中にかけて乗鞍岳山中で操業した平金鉱山に由来するもので、精錬所から立ち上る煙により、稜線上の樹木が枯れてしまったためだといいます。一時は2千人もの人々が、北海道や金沢町と呼ばれた鉱山都市に暮らし、小学校や劇場までありましたが、現在では大自然に還り、面影はありません。
枯松平から急な階段が続くガンバル坂、根性坂を乗り越えると、西方が開けた「白山見晴台」の広場に出ます。ここから登山道らしい少々険しい道になり、辺りの植生も、カラマツ人工林から、亜高山帯の針葉樹林やダケカンバに変わって、奥山にいることを感じさせます。
狭い尾根道をぐいぐい登ると、岩場が東側に向かって開け、巨大な乗鞍岳の全容が姿を現す「池見台」です。ここから小ピークをすぎると、樹林に囲まれた広場がある丸黒山の頂上に出ます。
丸黒山の頂上は広く、乗鞍岳、北アルプスの方向は大きく切り開かれて大パノラマが展開します。なかでも、千町尾根が延びる乗鞍岳は、剣ヶ峰をはじめとする火口の峰々に手が届きそうな近さです。
高山市松ノ木町の交差点から、飛騨高山スキー場や乗鞍青少年交流の家に続く青年道路に入り、ぐんぐん高度を上げて、終点に青少年交流の家駐車場があります。
もうここで標高が1500mあり、飛騨乗鞍高原と呼ばれています。
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