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春慶塗は高度な技術で塗られた紅色の漆器で、金箔や蒔絵などの装飾は施さず、透明な漆を使い天然の木目を生かしたシンプルな美しさが特徴です。
春慶塗は慶長12年(1607)に金森家の木匠・高橋喜左衛門と塗師・成田三右衛門によって作られ、宗和流茶道の祖・金森宗和が愛したことから、高山を代表する工芸品として発展しました。
江戸時代後期、高山では彫刻師・松田亮長がイチイの木を使って、木目の美しさを生かした繊細な根付(携帯用煙草入れの印籠につけるストラップ)を作り始め、粋な小物と評判を呼んで大流行しました。
明治以降に紙巻きタバコの普及で印籠が廃れると、根付の技術を用いて、のみで仕上げる彫刻や面造りが行われるようになり、飛騨を代表する工芸品になりました。
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江戸時代の飛騨は山深く、陶磁器のような重くて壊れやすい製品を他国から大量に仕入れることは至難の業でした。また、領内で自給自足が計られたので、尾張や九谷のような先進地から技術を導入し、いくかの窯が生まれました。
鮮やかな色彩の渋草焼、コバルトブルーの釉薬を用いた小糸焼、素朴な民芸調の山田焼があります。 |
飛騨古川の冬の風物詩・三寺参りなど、仏事や祝い事に欠かせないのが伝統的な和ろうそく。工業製品の洋ろうそくと異なり、穏やかに上下する炎が透明に輝きます。
美しい炎の秘密は中空になった芯にあります。和紙とイグサの灯心、真綿で芯を作って竹串に差し、くるくる回しながら、溶かした上質の天然ろうに浸しては引き上げる作業を繰り返しながら、胴すぼまりの独特の形を作っていきます。
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