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白山(2702m)は富士山、立山と並び日本三霊山のひとつに数えられる名峰です。
御前峰、大汝峰、剣ヶ峰の三主峰がそびえる山頂部には、翠ヶ池をはじめとする7つの火口湖、弥陀ヶ原や清浄ヶ原などのお花畑が広がります。日本海の季節風がもたらす豪雪が万年雪となって残り、遠くから見てもすぐ白山と分かる秀麗な山容は、古くから「しらやま」「越のしらね」と呼ばれて信仰の対象となりました。
御前峰頂上の白山奥宮は、末社として全国に2700もの白山神社を抱え、その数日本一を誇ります。飛騨にも白山神社は多く、遠く白山を遥拝できる場所にあります。
開山は養老元年(717)僧・泰澄によって行われ、天台系山岳密教の霊場として栄えました。加賀、越前、美濃から禅定道が頂上へ延び、江戸時代には「上り千人、下り千人」と称されるほど多くの登拝者で賑わったといいます。
現在、飛騨側からは一般ルートとして平瀬口があり、大白川温泉から4時間で登ることができます。緑豊かなブナ林を抜け、大倉山、カンクラ大雪渓を経て、高山植物が咲き乱れる弥陀ヶ原、室堂に達します。遠く北アルプスの眺めを背に、眼下に白水湖が広がる展望ルートです。
約1億年前、白山一帯には手取湖という湖がありました。当時は温暖な気候だったと考えられ、湖畔には恐竜が多く生息していました。白山麓からは恐竜の骨や、足跡の化石まで発見されています。
約10万年前、現在の山頂部の北西にある地獄谷付近には、標高3000mを越える富士山型の成層火山がありました。この火山を古白山と呼びますが、長年の侵食によって山体が崩壊し、その面影はありません。
約3、4万年前、崩壊した山体の一部が活発な噴火活動をはじめ、2200年前の大噴火で現在の山頂部の峰々が形成されました。長久3年(1042)には翠ヶ池ができる大噴火があり、最後の噴火は万治2年(1659)とされています。
白山に伝わる大男・ダイダラボッチは、火山の噴煙を擬人化したものと考えられ、白山の山頂に巨大な童子が現れて盛んに石を投げつけた、という伝説もあります。 白山の飛騨側・大白川温泉の魅力は、原始の自然にあります。ブナの巨木が茂る原生林に覆われ、豊かな動植物の楽園になっています。
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