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深い山あいに、寄り添うように茅葺屋根の合掌造り民家が並んでいます。
平成7年(1995)にユネスコ世界文化遺産に登録された、白川郷合掌集落の中心になるのが荻町合掌集落です。大小100棟余りの合掌造り家屋があり、今でも人々の生活が営まれています。
観光客があふれる荻町ですが、集落を歩けば小川に魚がゆうゆうと泳ぎ、田んぼのあぜ道に四季折々の花が咲く日本の原風景が広がっています。
合掌造り民家の保護だけでなく、こうした集落全体の農村風景が残されているからこそ、白川郷が美しい村と称えられるのでしょう。
ただし、ここはテーマパークではありません。生活している人のことを考え、無遠慮に家の敷地を覗き込むことはやめましょう。見学には資料館や民家園があります。
また、あわただしく駆け足で巡る旅は白川郷では似合いません。できれば合掌造りの民宿に泊まって生活を体験し、農村風景の中をのんびり散策してみましょう。
荻町合掌集落は、大きく東通り・中通り・西通り・かん町・下ごそに分かれます。
そのうち、合掌造り民家が集まる東通りと、お土産店が並ぶ中通りが観光の中心になります。荻町南端のかん町と北端の下ごそは素朴な小集落ですが、穴場の写真スポットでもあります。
荻町合掌造り集落の東側をぐるっと回る道です。
南端の明善寺から、神田家、長瀬家、和田家、と白川郷を代表する合掌造り民家が並び、田んぼの用水路にはマスが泳いで、最も白川郷らしい風景が見られます。
東通りの北端からは、山手に沿って城山展望台まで登る遊歩道があります。
明善寺は本堂や庫裏、2層の鐘楼門など、全ての建物が茅葺きという珍しい合掌造りのお寺です。郷土館として公開されている5層の庫裏は、白川郷でも最大規模の合掌造りで、屋根の勾配は60°近くあります。
本堂は約260年前に建てられた入母屋合掌造り、鐘楼を乗せた山門は浄土真宗に改宗する前の天台密教系の流れを汲んでいます。
8:30〜17時 300円 不定休 電話:(05769)6−1009
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約200年前に建てられた、完成度の高い合掌造り民家です。
文政年間に和田家から分家した家で、現在では合掌造り民芸館として公開されています。
9時〜17:30 300円 不定休
電話:(05769)6−1072 |
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明治23年(1890)築の合掌造り民家で、家を支える合掌柱は長さ11mもあります。
250年続く家系で、かつては医者だったので、江戸時代の珍しい医療器具が残されています。3代目善作は加賀藩御典医で、家宝は加賀藩主前田家から譲り受けた豪華な仏壇や美術品の数々です。
9時〜17時 300円 不定休
電話:(05769)6−1047 |
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荻町集落の北はずれにある由緒ある家で、松の木を手前に配した大型の合掌造りには風格が漂います。
江戸時代には名字帯刀が許され、代々「弥右衛門」の名を継ぎながら村の名主を勤めました。
また、白川郷や五箇山で製造された火薬の原料である煙硝の取り引きを行い、大きな富を築きました。
9時〜17時 300円 不定休
電話:(05769)6−1058 |
荻町合掌集落の中心部を南北に貫く国道156号線の旧道です。
主だった合掌造り民家には美然ゆめろむ館があります。お土産店がずらりと連なり、いつでも観光客でにぎわっています。
白川郷の芸術家・故板谷峰止の作品を展示する美術館です。山の木そのままの形を生かして、磨いたり、一刀彫を施して作り上げた作品は、いずれも巨大なもので、自然の生命力を感じるものばかりです。
合掌造り民家としても見ごたえがあり、使われなくなった三階、四階の床を外してあるので、見上げる屋根組みは非常に迫力があります。
10時〜16時 300円 電話:(05769)6−1166
荻町合掌造り集落の西側、庄川寄りを行く道です。
合掌造りの民宿や本覚寺がありますが、お土産店はなく、観光客も少ない通りです。そのため、荻町の中でも一番生活の雰囲気が漂います。
荻町合掌集落の南端にある、合掌造り民家が集まった小集落です。
荻町の中心部とは白川八幡神社で隔てられているため、かん町まで足を延ばす観光客は意外に少なく、穴場的な写真スポットになっています。
白川郷の風景写真で有名な、三軒の合掌造り民家が寄り添うように並ぶ場所は、かん町のさらに南端から見ることができます。
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和銅年間(708〜715)の創建と伝わる古社です。
荻町集落の南に鎮守の森が広がっています。白川郷の村々の総社で、毎年10月に白川郷の5神社で開かれるどぶろく祭の中心地になります。 |
白川八幡神社境内には、合掌造りを模した鉄筋コンクリート2階建ての「どぶろく祭の館」があります。白川八幡神社の社宝を展示するほか、10月14、15日に行われる「どぶろく祭り」の様子を人形で再現し、映像で紹介しています。 見学者は祭礼用のどぶろくを、いつでも試飲できます。
4月〜11月 9時〜16時 300円 電話:(05769)6−1655
荻町合掌集落の北端から、国道360号線に沿って天生峠に向かって上った場所にある、合掌造り民家が数軒寄り添うように谷間に並ぶ小集落です。
この小集落の高台には、有名な城山展望台があり、白川郷きっての写真スポットになっています。そのため、駐車スペースもない下ごそには気を留めずに、展望台に急ぐ人が多いのですが、谷間の小集落も、とても素朴で絵になる場所です。
荻町の北、荻町城跡にある展望台からは眼下に100棟余りの合掌造りが並び、白川郷の写真に必ず登場する余りにも有名な風景を見ることができます。また、遠くには遅くまで雪が残る白山連峰も姿を現し、絶景です。
荻町城は、戦国時代の領主・内ヶ島氏が、配下の山下氏勝に命じて築いた城砦で、松林に囲まれた土塁がわずかに残るにすぎません。
展望台には食事処・天守閣があります。
泉質:ナトリウム塩化物鉱泉
荻町集落北端の庄川沿いにある立ち寄り・宿泊の温泉です。
世界遺産の合掌集落にあるため、外観は地味な木造建築ですが、温泉施設はジェットバスのある内湯大浴場、川を見下ろす露天風呂、サウナなど充実しています。
また、外には無料の足湯もあるので、散策で疲れた足を休めるのにぴったりです。
7時〜21時 700円 無休 電話:(05769)6−0026
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