初夏のさわやかな味覚 朴葉すし
5月から7月のみずみずしい新緑の季節、初夏のさわやかな風情を、その味わいと香りで満喫できる郷土料理が、朴の木の葉にマスや山菜などの具を混ぜ込んだ酢飯を包む朴葉すしです。
朴の葉は、大きさが30cmほどにもなり、大きさに加えて、さわやかな芳香と殺菌作用があるため、食物の保存に用いられてきました。
美しい緑の葉に包まれた朴葉すしは、田植え時期の弁当としてつくられたのが始まりで、各家庭に「我が家の味」があり、今でも初夏のご馳走として親しまれています。
さんまぜ工房の朴葉すし
馬瀬の朴葉すしは、酢漬けにしたマスと刻み生姜を、炊き上がったご飯に混ぜて形を整え、それを葉で包むのが基本です。具の種類が少ないので、各地にある朴葉すしの中でも素朴な味わいですね。朴葉は工房の近くでも採れますし、お米は自慢の馬瀬産を使っています。
温泉客や釣り客だけでなく、馬瀬から都会へ出て行った人なども懐かしがって通販を求められます。工房では毎年、地元の子どもたちに朴葉すし体験をしてもらっています。葉を木から採ってくるところから始めていますが、わあーと歓声が上がるのは具をご飯に合わせてさわやかな酢の香りが立ったときと、葉を開いて皆で食べるときですね。
野原の朴葉すし祭り
馬瀬では、地元の有志が運営する野外イベント「野原の朴葉すし祭り」も開かれています。
2010年から馬瀬の野原を会場に、6月に行われます。祭りの参加者はお米を持ち寄り、朴葉すしつくりやクラフトつくりを楽しみます。「当日は朝から皆で「ぬかくど」(もみ殻を燃料とするかまど)でご飯を炊いて、酢漬けの具を混ぜて、外で作って外で食べてと、のびやかな気分を味わいます。子どもも大人も、外国人もみなさん楽しんでくれますね。」
旬
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
モクレン科の高木。
30p近い大きな葉に加え、芳香と殺菌作用があることから、郷土料理を包む食器として、飛騨地方で愛されてきました。