Panorama飛騨 飛騨路と北アルプスの絶景地ガイド

 
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御前山トレッキング


 御前山は下呂市萩原町の東にそびえる標高1646mの山で、阿寺山地の最北端に位置します。
 御嶽山を真正面から望み、人里から山頂を見ることができない不思議な「隠れ山」であるため、古くから信仰を集めました。

 名刹・禅昌寺は、平安時代の創建時は天台密教の山岳寺院であったとされますが、もともと御前山の山頂付近にあったといわれ、その寺院跡とされる場所には焼堂ヶ原の地名が残っています。また、戦国時代には岐阜城を拠点とした織田信長が、同城の鬼門の鎮めとして山頂に金の観音像を安置した、と伝わります。
 主な登山道は滝と淵が連続し、水が美しい桜谷をつめる桜洞ルートと、南西にのびる尾根を行く展望が素晴らしい上村ルートがありますが、ここでは上りを比較的距離が短い桜洞から登り、上村に下りて周遊するように案内します。

桜洞ルートから御前山へ

水洞平→御前山 約2時間30分/御前山→水洞平 約1時間45分

 萩原町から広域基幹林道に入り、舗装された道路を進むと、水洞平駐車場に到着します。水洞平に車を止めて、分岐するダートの林道を桜谷沿いに1kmほど歩くと、林道終点があり、その先に立派な木橋が架かっています。


 桜谷を渡ると4合目の観音像があり、杉の植林地に登山道が延びています。
 澄み切った水がとうとうと流れ、小さな滝と淵が連続する桜谷をひたすら詰めるコース沿いにはシダが生い茂り、苔むした石が積み重なって幻想的な光景です。谷に近づいたり、高巻いたりしながら進みますが、ごろごろした足元の石も苔むして雨の後などは滑りやすい道が続きます。
 5合目からは自然林に変わりますが、1合目ごとに石の観音様が祀られており、長い登りのアクセントになります。やがて鳥居を過ぎ、さらに上ると樹林が切れて目の前に高さ50mの巨大な岩壁が出現します。7合目半の屏風岩です。


 ここから登山道はサワラやヒノキの巨木の下に熊笹が茂る原生林を行き、細くなった谷筋をどんどん詰めていきます。時折開けた頭上に、稜線の笹原と岩、立ち枯れの木が太陽を浴びて白く光るのが見えます。初夏であれば、ツバメオモトやシャクナゲの花が見られるところです。
 標高1500mの9合目に元気付けられて急登をがんばると、谷筋を回り込んで稜線に出ます。すぐ北に見える峰は毘沙門峰といい、標高1650mは御前山より高く、萩原町からよく見えるいわゆる御前山は、この峰を指しますが笹原に続く踏み跡は薄く、縦走には藪漕ぎを強いられそうです。一旦山頂直下をトラバース気味に進むと、巨石が鎮座する御前山の山頂に飛び出します。


 傍らに祀られた観音堂は、戦国時代に織田信長が岐阜城の鬼門除けとして安置したもので、純金の仏像は再三の盗難に遭ったといわれています。南北に細長い山頂部は樹木が成長して展望が利きませんが、御嶽山のある東側は切り開かれています。
 御前山の山名は御嶽山の遥拝所からつけられたと考えられ、御嶽山と中央アルプスを望む一級の展望台です。その北には乗鞍岳、笠ヶ岳といった北アルプス連峰が続き、西には白山の姿が見えています。隠れ山といわれるだけあって、山頂から見えるのは飛騨の山並みばかりで人里は見えません。
 頂上の巨石から少し下りた場所に樹林に囲まれてプレハブの避難小屋が建っていますが、水場は登山道を20分あまり下りた桜谷源流しかありません。



上村ルートを下山

御前山→広域基幹林道 約2時間/広域基幹林道→御前山 約3時間

 御前山山頂の巨石の裏から続く尾根道が上村道です。
 山頂の下り口に小さな鎖場がありますが、何も問題はありません。歩き始めてすぐに猿が鼻観音を過ぎ、樹林の中のアップダウンのない平坦な道を行くと、辺りが開けて飛騨川の谷間に延びる萩原町の人里がはるか下に見渡せます。高圧電線の鉄塔が走る高原風の広い笹原は9合目焼堂ヶ原といい、送電線巡視用の小屋があります。


 ここは山岳密教が栄えた鎌倉時代に、晴峰寺?真乗寺?真福寺?という天台宗の山岳寺院があった場所だと伝えられます。この密教寺院は、現在の中呂地区にある臨済宗の名刹・禅昌寺の前身となった、平安時代の高僧・恵心僧都源信が開いた観音霊場だといわれますが、記録に乏しく、正しい寺名ほか詳しいことは分かりません。


 焼堂観音を過ぎて、周囲の風景を楽しみながら、樹林と笹原が交互に現れる長い尾根道を進みます。
 よく切り開かれた尾根道には、上村コースを示す看板が随所にあります。送電線と交差する焼堂ヶ原や笛吹観音付近では誤って中部電力の巡視道に入り込まないように注意しましょう。小ピークを乗り越えると、岩の上に笛吹観音像が鎮座しています。
 このコースはマムシなどの蛇が多く出没し、中でも笛吹観音には笛を吹いて毒蛇を集め、笛吹岩に閉じ込めた、という伝説があるだけに、蛇の活動しそうなシーズンの通行には気を付けてください。


 ドウダンツツジに囲まれた庭園風の道を行くと、撰場の観音があります。ここから尾根は狭くなり、雑木林の中のはっきりした下り勾配の道になります。やがて雑木林に囲まれた油坂の広場に出ます。標高1300m、山頂から1時間歩いても300mしか高度を下げていません。小坂方面への分岐を見送り、油坂観音からは標高差300mを一気に急降下します。
 油坂はえぐれた溝状の急坂で、プラスチックの鎖や階段が作ってありますが、足元にはふかふかの落ち葉が溜まっているため、スピードを上げすぎて滑り落ちないように抑制しながら進みます。
上りにこのコースをとると、急登が続いてなかなか厳しい場所です。


 いくつか緩急を繰り返し、中呂方面への道を分けると、周囲はヒノキの植林帯となり、ふいに尾根に突き出た鷹巣岩が現れます。数メートルの高さがある岩からは、麓に蛇行する飛騨川と萩原の街並みが全て見渡せます。飛騨川の西に連なる山並みには、川上岳から高城山、飛谷、仏ヶ尾山などが続いています。
 鷹巣岩付近から未舗装の林道に下りる道があり、さらに登山道を10分ほど下った場所からも未舗装の林道の峠観音に出ることができます。あとは1kmの林道歩きで、車が止められる広いスペースを持った広域基幹林道の上村登山口に出ます。
 鷹巣岩から登山道をまっすぐ下っても同じ登山口に出ることができ、さらに広域基幹林道を横切って上村の白山神社まで登山道が下りていきます。
広域基幹林道へ出たら、水洞平駐車場へは舗装林道を3km、延々45分歩きます。

登山口へのアクセス

 国道41号線の萩原駅下交差点からJR萩原駅前へ入り、駅前を左折、次の益田清風高校前の三叉路を右折してJR踏切を渡ります。道なりに上へ行きますが、登山口の看板が出ているので見落とさないように車を進めます。
 桜洞区の集落のはずれ、県神社付近からよく整備された広域基幹林道で御前山の山懐深く入ると、ぐんぐん高度を上げて大きな駐車場がある水洞平に到着します。
 そのまま広域基幹林道を進むと上村登山口、水洞平から谷沿いに上がる林道を行くと桜洞登山口の数台駐車できる駐車場まで行けますが、周遊コースを取る場合には水洞平に車を止めるのがよいでしょう。


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